Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 49-55, 2021

特集1

予防的摂食嚥下リハビリテーションへの挑戦

総説

予防的リハビリテーションとしての MTPSSE における呼吸筋の運動

永見慎輔 他

要旨 呼吸筋は発話においては音源の基盤となる重要な役割を有しており,摂食嚥下においては,咳嗽によって気道を浄化し,肺炎を予防するといった役割を担っている.MTPSSEでは必要に応じてEMSTやIMSTを用いた呼吸訓練を「その他のテクニック」としてプログラムに加えることを認めている.発話運動と嚥下運動に求められる声門加圧は異なるため,負荷抵抗を調節する必要がある.MTPSSEでは,最大限度に近い呼気筋力を発揮して約5秒間持続することを規定している.ブローイング法を用いた呼吸筋および腹筋群のトレーニングは口唇・舌骨上筋群に共同収縮を招く.レジスタンストレーニングに加え,ストレッチを併せて行うのが望ましい.
キーワード MTPSSE,呼吸筋,予防,フレイル,サルコペニア,COPD

一覧に戻る