Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 35-42, 2021

特集1

予防的摂食リハビリテーションへの挑戦

原著

予防的リハビリテーションとしての MTPSSE における舌骨上筋群の運動

福岡達之 他
広島国際大学総合リハビリテーション学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻

要旨 舌骨上筋群は,嚥下時に舌骨・喉頭を前上方へ挙上し,輪状咽頭筋の弛緩と食道入口部開大に関与する重要な筋群である.加齢に伴い舌骨上筋群の筋量・筋力は低下することが報告されており,高齢者の嚥下機能低下の原因 となり得る.舌骨上筋群の筋線維タイプはタイプⅡ線維の割合が多く,加齢による影響を受けやすい.加齢に伴う速 筋線維の減少に対してはレジスタンストレーニングにより速筋線維を活性化させることが有効であり,高齢者の嚥下機能低下に対する予防的リハビリテーションとしても重要なアプローチである.本項では,高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム(MTPSSE)における舌骨上筋群の主な運動課題について解説する.
キーワード 舌骨上筋群,フレイル,サルコペニア,高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム,MTPSSE

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