Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 108-112, 2021

特集2

ディサースリアの治療の重要論文を読む:治療の時代

抄訳

パーキンソン病における遅延聴覚フィードバック (DAF)による発話速度の調節:2 例の症例報告
DAF Speech Rate Modification in Parkinson’s Disease:A Report of Two Cases

Wayne R. Hanson, E. Jeffrey Metter
(Clinical Dysarthria,College-Hill Press,pp231-251,1983 より抄訳)
訳:中山慧悟
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院身体リハビリテーション部

 パーキンソン病によって生じる発話障害は運動低下性ディサースリアの一形態で(Darley, Aronson, and Brown, 1969),発話速度の変動がほかのディサースリアタイプと異なる.ディサースリアを有する場合,発話速度が正常話者よりも遅いことが一般的であるが,運動低下性ディサースリアの場合,発話速度が正常な例や正常よりも遅いもしくは速い例がある(Canter, 1963;Darley et al., 1969).病態生理学的機序としては特定の神経・筋コントロールのシグナルの加速と減衰による可能性が示唆されている(Netsell, Daniel and Celesia, 1975).

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