Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 10 No. 1 pp 81-98, 2020

特集2 ディサースリアの治療の重要論文を読む:診断の時代
翻訳 ディサースリアにおける異常な発話特徴のクラスター

Clusters of Deviant Speech Dimensions ㏌ the Dysarthrias

Frederic L. Darley, Arnold E. Aronson,

Joe R. Brown

Mayo Clinic and Mayo Foundation, Rochester, Minnesota

(Journal of Speech and Hearing Research, 12:462-496, 1969.)

訳:磯野千春

近畿大学病院リハビリテーション部

相関行列を用いて,異常な発話特徴が観察される共起性を実証した.この技法を応用することで,機能障害に関する8つの予測可能なクラスター(集団)が明らかとなった.7つの神経疾患による障害はそれぞれが独自のグループ,もしくは独自のクラスターパターンとして研究されてきた.しかし,いずれかのクラスターが出現すると,複数の疾患で共有される.クラスターに存在する発話特徴を調査することで,一般的にクラスターの原因となる生理学的障害に基づき,クラスターに理論的な名称をつけることができた.各疾患の神経筋特徴に関する知識により,各クラスターに関連する神経筋要素を推論した.今回明らかになったクラスター間の相関は,特定の神経筋原性障害の共起に関する手がかりとなった.さらに調査することで,個々の異常発話にみられる特徴の神経筋基盤が鑑別できた.これらの結論は,ディサースリアの問題をさらに叙述するための,正確な病態生理学的および神経生理学的測定方法の仮説として有用であろう.

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