Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 53-59, 2019

特集1 さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 筋萎縮性側索硬化症

佐々木彰一
あがの市民病院神経内科/豊栄病院神経内科

要旨 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)における病因,病態,臨床徴候の解明はここ10~20 年で目覚ましい進歩を遂げ,それに伴って診断基準や治療法にも変化が見られる.たとえば,運動ニューロンの細胞死にかかわる特異的な分子変化の発見,発症に関与する遺伝子異常の新たな解明,flail arm syndrome などの亜型や臨床早期にみられる解離性小手筋萎縮(split hand)などの報告,改訂El Escorial 診断基準やAwaji 診断基準などの新たなALS 診断基準の提唱,ALS の病態機序に基づく既存の薬物あるいは細胞増殖(成長)因子による臨床治験,iPS 細胞を用いた研究から治療への応用あるいは再生医療への試みなどである.本稿では,最近のALS 研究の進歩を踏まえて,主にALS の病態生理,診断基準,臨床経過などについて概説する.

キーワード 筋萎縮性側索硬化症,病態生理,神経症候,診断基準,臨床経過,臨床亜型

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