Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 15 No. 1 pp 44-49, 2025
特集1
高齢者モデルにおける摂食嚥下リハビリテーション
総説
高齢者の発声と嚥下
倉智雅子
国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 言語聴覚分野
要旨
発声と嚥下は喉頭を共通の器官とする運動である.そのため,摂食嚥下障害のリハビリテーションには発声訓練が複数取り入れられているが,有効性を示すデータは限定的である.また,発声と嚥下の咽頭期の運動様式は随意運動と反射運動という相違点があり,相互の波及効果にはさらなる解明が必要である.超高齢社会の日本においては,高齢者の身体機能低下予防は高い関心を集めており,臨床家は加齢に伴って生じる各器官の生理的変化を理解し,そのメカニズムを踏まえた介入を行うことが重要である.発声と嚥下の両領域に専門職として関わる言語聴覚士には,科学的知見の蓄積と,エビデンスに基づく実践の確立が一層求められる.
キーワード 高齢者,加齢,発声,嚥下,訓練

