Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 15 No. 1 pp 37-43, 2025

特集1

高齢者モデルにおける摂食嚥下リハビリテーション

総説

加齢に伴う嚥下関連筋群の変化(サルコペニアの筋萎縮,廃用性萎縮との相違も含む)
田中加緒里
愛媛大学 医学部 耳鼻咽喉科 頭頸部外科

要旨 
加齢に伴う摂食嚥下機能低下は,高齢者における摂食嚥下障害の重要な背景因子であり,サルコペニアや廃用症候群と複合して病態をさらに複雑化させる.とくに喉頭挙上能低下は咽頭クリアランスおよび気道防御能を阻害し,誤嚥や肺炎のリスクを増大させる.そのため,時間的・距離的に喉頭挙上の低下を代償できるか否かが,安全な経口摂取の自立を左右する鍵となる.老嚥(嚥下のフレイル)は可逆的であり,嚥下関連筋群のレジスタンストレーニングにより改善が期待できる.加齢変化と病的筋萎縮の相違を正しく理解し,早期発見と適切な介入を行うことが予後改善と健康寿命の延伸に不可欠である.
キーワード 一次性サルコペニア,嚥下のフレイル,喉頭挙上能の低下,レジスタンストレーニング

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