Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 91-92, 2019

特集2 ディサースリアの治療の重要論文を読む:黎明期
特集にあたって

西尾正輝
新潟医療福祉大学

 ディサースリアの領域では,Darley らが活躍した1960~1970 年代以前は,専ら小児(脳性麻痺)に関心が寄せられていた.成人のディサースリアに言語臨床家が注目し出したのはこのころからのことであり,その歴史は新しい.しかも,Darley らが活躍した時代はディサースリアの定義や診断基準などについて国際的コンセンサスが得られたという点で特筆すべき進展がみられたが,治療に関してはほとんど進展がみられなかった.成人のディサースリアの領域で治療に対する進展が飛躍的にみられたのは,1980年代のことであった.こうした時代的情勢から,1960~1970 年代は「診断の時代」と呼ばれ,1980 年代は「治療の時代」と呼ばれる.

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