Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 80-82, 2019

特集1 さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 ウィルソン病

原田 大、大江晋司
産業医科大学第3 内科学

要旨 ウィルソン病は先天性の銅代謝異常症である.肝細胞に存在する銅輸送体であるATP7B の機能がその遺伝子ATP7B の変異により低下して胆汁中への銅の排泄が障害される.患者ではATP7B に500 以上の変異が存在するため症例により発症年齢や症状が多彩である.肝障害と神経症状が主なものであるが,それ以外の多くの症状をとりうる.本症は薬物により治療可能な遺伝性疾患であるため早期の診断が重要である.適切に治療を受けた場合の予後は良好であるが,進行した症例は肝移植を必要とする場合もある.本症を思い浮かべて診断することがきわめて重要である.

キーワード ATP7B,ウィルソン病,酸化ストレス,銅,特発性銅中毒症

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