Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 69-73, 2019

特集1 さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 ハンチントン病とディサースリア,言語機能障害および嚥下障害

後藤 順
国際医療福祉大学三田病院脳神経内科

要旨 ハンチントン病は,稀な常染色体優性遺伝形式をとる進行性の中枢神経変性疾患で,多くの患者は中年期に発症し,15~20 年の経過で死亡することが多い.原因となる遺伝学的異常は,ハンチントン遺伝子(HTT )のCAG三塩基反復配列の異常伸長である.中枢神経の変性は線条体に始まり,舞踏運動に代表される運動障害,認知機能障害,精神機能障害を呈する.主に運動障害に起因すると考えられるディサースリアおよび嚥下障害は進行とともに高率に認められ,嚥下障害は死因とも関連性が高い.また言語機能の障害も認められ,病初期における障害が注目される.治療研究に伴い,これらの障害の研究が欧米中心に進められている.

キーワード ハンチントン病,ディサースリア,言語機能障害,嚥下障害

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