Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 9 No. 1 pp 60-68, 2019

特集1 さまざまな神経筋疾患を理解する
総説 進行性核上性麻痺

豊島 至
国立病院機構あきた病院脳神経内科

要旨 進行性核上性麻痺PSP はパーキンソン症候群の1つで,転倒しやすさと垂直性注視麻痺を特徴とする.嚥下障害,ディスアースリアも比較的早期に来す.画像診断では中脳・脳幹被蓋部の萎縮に注目する.本態はタウタンパク質の異常凝集で,房状アストロサイト,グロボース型神経原線維変化が病理組織で見られることを確定診断根拠とする.剖検例をもとに臨床診断の確度が国際運動障害会議で検討され,MDS-PSP criteria として発表された.複雑な構成であるが今後の臨床治験の標準となるであろう.鑑別診断としては大脳基底核変性症が挙げられる.凝集タウタンパク質が幾分異なる.PSP の治療薬が開発中で期待される.

キーワード パーキンソン症候群,タウタンパク質,房状アストロサイト,Richardson 症候群,原発性進行性失語

一覧に戻る