Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 8 No. 1 pp 5-37 , 2018

ディサースリアと嚥下障害を同時に治療・訓練するアプローチ:MTPSSE

西尾正輝

要旨:ディサースリアと嚥下障害の合併率は高く,両障害は,障害構造も類似している.したがって,両障害が共有する器官に対して同時並行的にアプローチする機能的治療・訓練システムが求められ.このハイブリッドアプローチを体系化したものが,「高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム(MTPSSE)」である.系統発生学的に両機能を考察すると,発話は嚥下のための器官を活用して発達した以上,ディサースリアと嚥下障害が同時に障害されるのは必然的である.両障害を同時並行的に治療・訓練し,発話機能と嚥下機能を共存させるのは言語聴覚士に与えられた職責であるという見地から,本稿ではMTPSSEの概要について解説した.

キーワード:ディサースリア,嚥下障害,高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム,MTPSSE,系統発生,ハイブリッドアプローチ

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