Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.6 No.1 pp53-60,2016

ヒト声帯黄斑の形態と機能

佐藤公則

要旨:1)ヒト声帯の黄斑は,ヒト固有の声帯粘膜の層構造を構築し,ヒト声帯の成長・発達・老化に関与し,声帯振動に必須の声帯粘膜の細胞外マトリックスの代謝に関与していることが示唆されている.
2)ヒト声帯の黄斑には通常の線維芽細胞とは形態学的に異なり,細胞外マトリックスを恒常的に産生し,ビタミンAを貯蔵した脂肪滴を細胞質に持つ声帯星細胞が密に分布している.
3)ヒト声帯黄斑は幹細胞ニッチであり,黄斑内の細胞は組織幹細胞であることが示唆されている.
4)ヒト声帯の細胞と細胞外マトリックスの研究は,喉頭の生理・病理の基礎的研究になるばかりでなく,組織工学,再生医療の基礎的研究として臨床に貢献すると考えられる.

キーワード:声帯,黄斑,声帯星細胞,組織幹細胞,幹細胞ニッチ

久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

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