Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol.2 No.1 pp25-28,2012

進行性核上性麻痺に伴う重度ディサースリア1例に対する
音声治療とタッピング法の効果

田村俊暁1) 井口正明1) 西尾正輝2)

要旨:重度の進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)1例に対して音声治療とタッピング法を実施し効果を認めたため報告する.初回評価にて発話明瞭度は4.0/5であった.発話特徴は声量の低下,構音の歪みが顕著であった.音声治療とタッピング法を導入し,発話明瞭度は1.5/5に改善したが,日常生活での発話明瞭度は依然として低かったため,治療頻度を増やし,日常生活でもタッピング法を使用したところ発話明瞭度が改善した.また,その後病態の進行に伴い発話明瞭度が低下したため休止タップ法を考案・導入したところ,再び発話明瞭度が改善した.以上から,PSPに対するこれらのアプローチの有用性が示唆された.

キーワード:進行性核上性麻痺,ディサースリア,音声治療,タッピング法

1)小千谷さくら病院コメディカル部リハビリテーション室(〒947-0041 新潟県小千谷市小粟田2732番地)
2)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科(〒950-3198 新潟県新潟市北区島見町1398番地)

受稿日:2012年3月16日 受理日:2012年4月2日

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