Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 43-48, 2021

特集1

予防的摂食嚥下リハビリテーションへの挑戦

総説

予防的リハビリテーションとしての MTPSSE における内喉頭筋の運動
岩城 忍 他
神戸大学医学部附属病院リハビリテーション部

要旨 高齢者の音声障害に効果のある音声治療手技は複数あるが,本邦においては Vocal Function Exercises (VFEs)の有用性が多く報告されている.VFEs には理学療法的側面と semi-occluded vocal tract exercises(SOVTE) の側面が含まれており,より適した声帯内転運動が促され,発声効率が高まる.さらに,喉頭の機能の一つに気道防 御機能があることから,MTPSSE における VFEs を用いた内喉頭筋の運動により声門閉鎖を改善させることで気道 防御機能が向上し,誤嚥性肺炎の予防に有効である可能性がある.予防的リハビリテーションとしての可能性におけ る将来展望としては,音声障害,嚥下障害の有無に関わらず地域のコミュニティーと連携して内喉頭筋の運動を含む MTPSSE を長期的に実践していくプログラム作成と運営組織の構築が望まれる.
キーワード 高齢者,音声障害,内喉頭筋,VFEs,高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム,MTPSSE

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