Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 29-34, 2021

特集1

予防的摂食嚥下リハビリテーションへの挑戦

総説

フレイル,サルコペニアと摂食嚥下障害
若林秀隆
東京女子医科大学病院リハビリテーション科

要旨 高齢者は全身の身体的フレイルやサルコペニアに伴い,摂食嚥下機能のフレイルである老嚥を認めやすい. 老嚥は摂食嚥下障害ではない.サルコペニアの摂食嚥下障害とは,全身および嚥下関連筋の筋肉量減少,筋力低下に よる摂食嚥下障害である.老嚥で全身のサルコペニア,低栄養,低 ADL を認めた場合,可能な限り改善しておくことが,サルコペニアの摂食嚥下障害の予防的摂食嚥下リハビリテーションとなる.「とりあえず安静」「とりあえず禁 食」「とりあえず水電解質輸液のみ」による医原性サルコペニアを作らないことも,サルコペニアの摂食嚥下障害の予 防となる.リハビリテーション栄養の視点と SMART なゴール設定が,予防的摂食嚥下リハビリテーションに重要である.
キーワード 老嚥,サルコペニアの摂食嚥下障害,リハビリテーション栄養

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