Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 11 No. 1 pp 102-104, 2021

特集2

ディサースリアの治療の重要論文を読む:治療の時代

抄訳

失調性ディサースリアの音響分析: 治療をモニタリングするためのアプローチ
Acoustic Analysis of Ataxic Dysarthria: An Approach to Monitoring Treatment

Nina N. Simmons
(Clinical Dysarthria, College-Hill Press, San Diego, pp283-294, 1983 より抄訳)
訳:谷合信一
防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座

 近年,ディサースリアの評価と診断は進歩している Darley ら(1969 a, b)は,ディサースリア鑑別診断のための知覚システムに貢献し,Yorkston ら(1981 a, b)はディサースリアの発話明瞭度測定に,より信頼できる意味付けを与えた.しかしながら,プロソディーや発話の質的変化の客観的な測定は多くの臨床家にとって課題である.プロソディーの伝統的な評価は,「単調,断綴性発話,語尾変化の欠如」などと記述する.Kent ら(1979)は音響分析の使用を提案し,失調性発話の音響的特性の客観的尺度を提供し,治療による発話変化に信頼性を提供したことを示した.治療効果のモニタリングにおける音響分析の有用性を評価するために,言語療法を受けた失調性患者の研究を行った.

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