Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 10 No. 1 pp 50-56, 2020

特集1 言語聴覚士に必要な運動生理学
総説 運動と循環・呼吸

宮本忠志

大阪産業大学スポーツ健康学部スポーツ健康学科

要旨 近年,臨床医学の分野においては運動負荷試験が果たす重要性が増している一方,運動負荷時に呼吸循環反応の異常が発現する病態メカニズムや,運動療法が病態改善に及ぼす効果については,未だ不明な点が多い.本総説では,心肺運動負荷試験中の呼吸循環反応のダイナミズムの観察を通じて,細胞呼吸(内呼吸)と肺呼吸(外呼吸)とが連関するガス輸送のメカニズムや,心血管系や換気応答の強さ,時間的経過を決定する因子,また運動という代謝性のストレスに対する呼吸循環系の総合的な機能や病態重症度を客観的に評価する方法論について解説した.

キーワード 運動負荷試験,無酸素性作業閾値,最大酸素摂取量,心拍数,分時換気量,エネルギー代謝

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