Japan Journal of Clinical Research in Dysarthria Vol. 10 No. 1 pp 20-26, 2020

特集1 言語聴覚士に必要な運動生理学
総説 筋収縮時のエネルギー代謝

浜岡隆文,布施沙由理,遠藤祐テル、黒岩美幸,黒澤裕子,木目良太郎

東京医科大学健康増進スポーツ医学分野

要旨 骨格筋は,高強度運動時には,筋に貯えられているクレアチンリン酸の利用や解糖系の賦活化を駆使して,無酸素的に筋収縮のためのアデノシン三リン酸(ATP)を再合成する.一方,持久運動時には,ATP を有酸素的に再合成し,筋収縮を継続する.本稿では,骨格筋代謝の非侵襲的評価方法のうち,リン31 磁気共鳴分光法(31P-MRS)によるリン酸化合物濃度測定と近赤外分光法(NIRS)による筋酸素動態および筋酸素消費量の測定について解説する.その中で,筋肥大に有効なトレーニング方法の選択に,NIRS を用いた筋内酸素モニタリングが利用できることを示す.また,不活動による筋機能の低下とその予防運動プログラムについても言及する.

キーワード アデノシン三リン酸,クレアチンリン酸,解糖系,筋内酸素化レベル,筋肥大,筋不動化

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